スマホの見過ぎで頭痛が…原因と対策を解説

スマホを見ていると頭が痛くなることはありませんか？実は、スマホの長時間使用は頭痛の大きな原因の一つです。特に、子どもから大人まで、誰もが長時間スマホを使う現代では、スマホ頭痛に悩む人が急増しています。

長時間スマホを触っていると、目の奥がジーンとしたり、こめかみがズキズキしてきたり、頭全体が締め付けられるような感覚を経験したことはありませんか？

この記事では、スマホと頭痛の関係性について、最新の研究結果も踏まえながら、解説します。

スマホを使うことで起こる頭痛の多くは、「緊張型頭痛」と「片頭痛」の2種類が該当します。 これらの頭痛は、それぞれ異なるメカニズムで引き起こされます。

緊張型頭痛は、肩や首の筋肉が緊張することで起こると考えられています。まるで頭に輪ゴムを巻いているような、締め付けられるような痛みと表現されることもあります。

例えば、満員電車の中で立っているときに、スマホをずっと見ていると、首が前に出て猫背になりがちです。このような姿勢を長時間続けると、首や肩の筋肉が過度に緊張し、血行が悪くなります。その結果、筋肉に老廃物が蓄積し、神経を刺激することで頭が痛くなると言われています。

一方、片頭痛は、典型的にはズキンズキンと脈打つような痛みを伴う頭痛です。頭の片側、あるいは両側が痛むことが多いですが、痛む場所が移動することもあります。スマホから発されるブルーライトが片頭痛発作の引き金になり得るとも言われています。片頭痛は、時に吐き気や嘔吐、光や音への過敏さを伴う場合もあり、日常生活に大きな支障をきたすこともあります。

緊張型頭痛と片頭痛は、境界線が曖昧で、緊張型頭痛様の頭痛の後に片頭痛様の頭痛へと移行し、その後緊張型頭痛様の頭痛へと移行するような痛みの感じ方をすることも多くあります。

例えば、長時間スマホを見ていて、最初は肩や首のこりからくる締め付けられるような痛み（緊張型頭痛）を感じていたのが、次第にズキンズキンとした痛み（片頭痛）に変わっていく、というケースも少なくありません。

スマホの画面から出ている光には、ブルーライトが多く含まれています。このブルーライトは、太陽光にも含まれている光ですが、スマホの画面からは特に強いブルーライトが出ています。ブルーライトは、波長が短くエネルギーが強い光のため、目の奥まで届きやすく、目の疲れやドライアイを引き起こすだけでなく、脳にも影響を与えます。

例えば、夜寝る前に暗い部屋でスマホを長時間見ていると、強いブルーライトによって網膜に存在する細胞が反応し、脳へと信号が送られることで頭痛が誘発されると考えられています。

最新の研究でも、片頭痛患者はそうでない人に比べて、スマホなどのVDT（Visual Display Terminals：ディスプレイ付き情報通信機器）の使用割合が高いことが示されています。さらに、片頭痛患者においては、スマホの使用が頭痛を悪化させたり、薬の使いすぎによる頭痛（MOH：Medication Overuse Headache）を併発するリスクを高める可能性も指摘されています。

スマホの普及に伴い、若年層のスマホ利用時間も増加しています。小学生でもスマホを持っているのが当たり前の時代になりました。

例えば、小学生が毎日何時間もスマホゲームをしていると、眼精疲労や肩こりだけでなく、集中力の低下や睡眠障害などの問題も引き起こす可能性があります。また、スマホの長時間使用は、子どもの脳の発達にも悪影響を与える可能性があると指摘されています。

10代の若者は、特に片頭痛のリスクが高いことが分かっています。成長期の脳は、大人よりも刺激に敏感で、スマホの光や情報量の多さに過剰に反応してしまうのです。さらに、スマホによる睡眠不足や生活習慣の乱れも、頭痛を悪化させる要因となります。

スマホと頭痛の関係性を理解し、適切な対策を講じることは、子どもから大人まで、すべてのスマホユーザーにとって非常に重要です。

ストレートネックとは、本来ゆるやかにカーブしているはずの首の骨（頚椎）が、まっすぐになっている状態です。このストレートネックが、緊張型頭痛と深く関係していることがあります。

私たちの首は、ボーリングの球のように、約5kgもの重い頭を常に支えています。首の骨が正しいカーブを描いていると、この重さをうまく分散し、首への負担を軽減できるのです。しかし、ストレートネックになると、この分散機能がうまく働かず、首や肩の筋肉に負担が集中し、過度に緊張してしまいます。

例えば、スーパーで買い物カゴいっぱいの商品を持ち続けると、だんだん腕が疲れてきますよね？ストレートネックは、常に首に重い買い物カゴを持ち続けているような状態と言えるでしょう。この状態が続くと、筋肉が硬くなり、血管を圧迫し始めます。すると、血流が悪くなり、筋肉への酸素供給が不足します。酸素不足に陥った筋肉は、痛みを引き起こす物質を放出し、それが神経を刺激することで、頭痛が発生するのです。

デスクワークで長時間パソコン作業をされている方が、ストレートネックからくる頭痛を訴えて来院されるケースがよくあります。最近では、スマートフォンやタブレットを長時間使用する若年層にも、ストレートネックが increasingly common となっており、深刻な問題となっています。

姿勢が悪くなる原因は、日常生活の中に潜んでいます。現代社会では、スマートフォンやパソコンなどのデジタルデバイスの長時間使用が、姿勢悪化の大きな要因となっています。小さな画面に集中するため、どうしても頭が前に出てしまい、首がまっすぐになりやすいのです。

例えば、電車に乗っている時、周りの人たちの姿勢を見てみてください。多くの人がスマートフォンを操作しながら、首を前に傾けていませんか？このような姿勢を長時間続けることで、首の筋肉に負担がかかり、ストレートネックのリスクを高めてしまうのです。その他にも、ソファに深く座り込み、猫背になりながらテレビを見ている、読書に集中しすぎてうつむいたまま長時間過ごしている、重たいカバンをいつも同じ肩にかけている、なども姿勢悪化につながる要因です。これらの何気ない習慣が、知らず知らずのうちに首や肩に負担をかけ、姿勢を悪くし、ひいては頭痛を引き起こしてしまうのです。

ストレスも、緊張型頭痛の大きな原因の一つです。ストレスを感じると、私たちの体は「闘争・逃走反応」と呼ばれる状態になり、交感神経が活発になります。交感神経が優位になると、心拍数や血圧が上昇し、全身の筋肉が緊張します。この筋肉の緊張が、血管を圧迫し、血流を阻害することで頭痛を引き起こすのです。「大事なプレゼンテーションの前日は肩がこる」「試験前は頭が痛い」といった経験はありませんか？これは、ストレスによる筋肉の緊張が原因である可能性が高いです。

近年、ディスプレイ付き情報通信機器（VDT。スマートフォンやパソコンなど）の使用と頭痛の関連性について研究が進められています。例えば、頭痛患者106人を対象とした研究では、VDT機器の使用と頭痛の関連性が示唆されています。特に若い世代では、スマホの長時間使用が頭痛を悪化させる可能性があるため、注意が必要です。

ストレスは現代社会において避けることが難しいものですが、その影響を最小限に抑える努力は必要です。自分に合ったストレス解消法を見つけることが重要です。例えば、ぬるめのお風呂にゆっくりつかる、好きな音楽を聴く、軽い運動をする、アロマを焚く、ペットと触れ合う、自然の中で過ごす、瞑想やヨガをするなど、様々な方法があります。自分に合った方法でストレスを発散し、心身ともにリラックスできる時間を作るように心がけましょう。

頚椎は、首の部分にある7つの骨のことで、積み木のように重なって頭を支えています。この骨のおかげで、私たちは頭を前後左右にスムーズに動かすことができるのです。

それぞれの頚椎には役割があり、一番上の頚椎は頭を支える土台のような役割を果たしています。二番目の頚椎は、頭を回す際に中心的な役割を担っています。三番目から七番目の頚椎は、腕や手に繋がる神経の通り道となっています。

例えば、首を横に倒したり、回したりしてみてください。この時、頚椎がそれぞれ連動して動いていることを感じられるでしょうか？まるで精密機械のように、一つ一つの骨が重要な役割を担っているのです。しかし、この精巧な構造であるがゆえに、一度歪みが生じると、様々な不調につながることがあります。

頚椎が歪むと、頭痛だけでなく、肩こり、首の痛み、腕のしびれ、吐き気やめまいなど、様々な症状が現れることがあります。これは、歪んだ頚椎が周囲の神経や血管を圧迫するためです。また、筋肉が緊張し、血行が悪くなって老廃物が溜まりやすくなることも、症状を悪化させる原因となります。

頚椎の歪みを改善し、頭痛を予防・軽減するためには、日頃から正しい姿勢を意識し、適度な運動を行うことが大切です。

例えば、首をゆっくり回したり、肩甲骨を動かすストレッチは、筋肉の緊張をほぐし、血行を促進する効果があります。また、ウォーキングなどの軽い運動も、全身の血行を良くし、筋肉を強化するのに役立ちます。

スマホを長時間使用する際は、30分に一度は休憩を取り、これらの運動や体操を行うようにしましょう。こまめな休憩と適度な運動は、頚椎への負担を軽減し、頭痛の予防につながります。

スマホを使い始めると、ついつい時間を忘れて何時間も触ってしまう、そんな経験はありませんか？

ゲームアプリに熱中していたり、SNSをチェックしているうちに、あっという間に時間が過ぎてしまうことはよくあることです。私自身も、気がついたら数時間スマホを触っていた、という経験があります。夢中になっている時は気づきにくいですが、長時間同じ姿勢で画面を見続けていると、目や首、肩に大きな負担がかかってしまい、頭痛を引き起こす原因になります。

そこでおすすめなのが、タイマーを使って使用時間を管理する方法です。

例えば、「30分使ったら5分休憩する」など、時間を決めてアラームを設定しておきましょう。タイマーが鳴ったら、スマホから目を離し、遠くの景色を見たり、軽いストレッチをしたりして、目と体を休ませる時間を作るのがおすすめです。

タイマーを使うメリットは、時間を意識できるようになることです。「あと少しだけ…」とダラダラ続けてしまうのを防ぎ、スマホの使用時間をコントロールすることができます。

休憩せずに長時間スマホを使用すると、まるでマラソンを走り続けるように、体への負担が蓄積していきます。適度な休憩を挟むことで、この負担を軽減し、頭痛の予防に繋げることができます。また、休憩時間を強制的に設けることで、目の疲れや肩こりの悪化を防ぎ、頭痛の予防にもつながります。

タイマーを設定するのが面倒な場合は、スマホに最初から搭載されている使用時間制限機能や、アプリを活用するのも良いでしょう。最近は、使用状況をグラフで表示してくれるアプリなど、様々な機能を持つアプリが出ていますので、自分に合った方法を見つけてみてください。

106人の頭痛持ちの患者さんを対象とした研究では、スマホなどのディスプレイ付き情報通信機器（VDT）の使用と頭痛の関連性が示唆されています。タイマーを使って使用時間を管理することは、VDT機器の使用と頭痛の関連性を踏まえると、非常に重要な対策と言えるでしょう。

スマホを見ている時の自分の姿勢、意識したことはありますか？

例えば、電車の中吊り広告で「スマホを見る人のイラスト」をよく見かけますが、大抵の人は猫背で首が前に出ている姿勢で描かれていますよね。これはまさに、スマホ利用時の典型的な悪い姿勢です。このような姿勢で長時間スマホを見てしまうと、ストレートネックの原因となり、頭痛につながるだけでなく、肩こりや首こり、背中全体の痛みを引き起こす可能性もあります。

正しい姿勢を保つためには、以下の点に注意しましょう。

• 画面を目と同じ高さに保つ：画面を下げて見ると、どうしても首が前に出てしまい、ストレートネックになりやすくなります。肘掛けのある椅子に座り、肘を置いて画面を目と同じ高さ、もしくは少し高めに調整することで、首への負担を軽減することができます。
• 背筋を伸ばす：猫背になると、まるで重いリュックを背負っているかのように、首や肩への負担が増大し、頭痛を悪化させる原因となります。背筋を伸ばし、胸を張るように意識し、あごを引くことで、正しい姿勢を維持することができます。
• 肘を支える：スマホを手で持ったまま長時間使用していると、腕や肩が疲れてしまい、その負担が頭痛につながる可能性があります。肘をテーブルや机に置いて支えることで、腕や肩への負担を軽減することができます。

これらのポイントを意識しながら、こまめに姿勢をチェックすることで、頭痛の予防や改善につながります。

スマホを使っている時に休憩を取ることは、頭痛予防にとても大切です。休憩時間には、ただスマホから目を離すだけでなく、目や首、肩を積極的に動かすことで、筋肉の緊張をほぐし、血行を促進することができます。

具体的な休憩方法としては、以下のようなものが挙げられます。

• 遠くの景色を見る：近くの画面を見続けることで、ピントを調節する目の筋肉が緊張し、頭痛を引き起こす可能性があります。遠くの景色を見ることで、この目の筋肉をリラックスさせることができます。遠くにある緑の木や空、遠くのビル群の窓など、一点に集中して見続けず、ゆっくりと視線を移動させながら眺めてみましょう。
• 軽いストレッチをする：首や肩を回したり、腕を伸ばしたりするなどの軽いストレッチは、筋肉の緊張をほぐし、血行を促進する効果があります。首をゆっくり左右に倒したり、肩を上下に動かしたり、腕を大きく回したりしてみましょう。
• 目を温める：蒸しタオルやホットアイマスクなどで目を温めることで、目の周りの血行が良くなり、目の疲れや頭痛を和らげることができます。目の疲れを感じた時に、手軽にできる方法です。
• 軽い運動をする：軽い散歩や体操など、体を動かすことで、全身の血行が促進され、頭痛の改善に効果的です。近所の公園を散歩したり、軽いジョギングをするのも良いでしょう。

これらの休憩方法を、タイマーを使って定期的に行うことで、スマホ使用による頭痛を効果的に予防・改善することができます。最新の研究でも、スマートフォンなどのVDT機器の使用と頭痛には関連性があることが示唆されており、特に片頭痛の悪化や薬剤乱用頭痛の併発リスクが指摘されています。スマホとの上手な付き合い方を身につけて、快適な毎日を送りましょう。

薬剤過剰使用型頭痛（MOH）は、頭痛薬の使いすぎによって起こる頭痛です。

例えば、緊張型頭痛で悩んでいる人が、痛みを我慢できずに頻繁に市販の頭痛薬を服用していると、MOHになってしまう可能性があります。まるで、薬に頼りすぎて、自分の体の治癒力を弱めてしまうようなものです。

MOHは、最初は緊張型頭痛として始まったものが、薬の使いすぎによって慢性化し、毎日頭痛が起こるようになってしまう状態です。まるで、泥沼にはまっていくように、薬を飲んでも頭痛が治まらず、さらに薬を飲むという悪循環に陥ってしまいます。

MOHを防ぐためには、頭痛薬を正しく使用することが重要です。市販薬であっても、用法・用量を守り、必要以上に服用しないようにしましょう。また、頭痛が続く場合は、自己判断で薬を飲み続けるのではなく、医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けるようにしてください。

特に、スマホの長時間使用により、片頭痛が悪化し、MOHを併発するリスクが高まるとの報告もあります。スマホと上手に付き合う方法を身につけることが、頭痛予防の第一歩と言えるでしょう。

スマホの使いすぎによる頭痛は、現代社会における深刻な問題です。この記事では、緊張型頭痛や片頭痛といったスマホが引き起こす頭痛の種類、ブルーライトの影響、そして若年層におけるリスク増加について解説しました。 長時間スマホを使用することで、首や肩の筋肉の緊張、目の疲労、睡眠不足などが引き起こされ、頭痛につながることがわかりましたね。

では、どうすれば頭痛を防げるのでしょうか？ まずは、タイマーを使ってスマホの使用時間を管理し、30分毎に休憩を取りましょう。休憩中は遠くの景色を見たり、簡単なストレッチをしたり、目を温めたりすることで、目や体の負担を軽減できます。さらに、正しい姿勢を意識し、背筋を伸ばしてスマホを使うことも大切です。

それでも頭痛が改善しない、あるいは強い痛みや他の症状を伴う場合は、迷わず医療機関を受診しましょう。神経内科やペインクリニックなど、頭痛に詳しい専門医に相談することで、適切な診断と治療を受けることができます。 頭痛の原因を特定し、適切な対策を行うことで、快適な毎日を取り戻せるはずです。 この記事が、スマホと頭痛の関係性を理解し、効果的な対策を立てるための一助となれば幸いです。