バルプロ酸ー片頭痛の予防薬
[caption id="attachment_12150" align="alignnone" width="174"] 福岡の頭痛HP[/caption]
てんかんの治療薬でもあるバルプロ酸が昨年から片頭痛の予防薬として保険適応となってます。薬物乱用頭痛にも用います。
①バルプロ酸は片頭痛の予防に有効か?
→1カ月あたりの発作回数、頭痛の程度、持続時間を軽減させることが期待できる.バルプロ酸ナトリウム400mg/日を8週間内服で、頭痛発作頻度が月5.4回から4.0回に,頭痛強度がvisual analog scale (VAS) 7.7から5.8に,頭痛持続時間が21.3時間から12.3時間に減少という報告があります。
②バルプロ酸はどのような片頭痛患者に投与するのか?
1月に2回以上の頭痛発作、日常生活の支障がある場合、急性期治療薬が禁忌か無効あるいは乱用がある場合、永続的な神経障害をきたすおそれのある特殊例
③バルプロ酸の予防療法の目的は?
① 発作頻度、重症度と頭痛持続時間の軽減
② 急性期治療の反応改善
③ 生活機能向上と、生活への支障の軽減にある。
④片頭痛治療に用いるバルプロ酸の用量はどの程度か?
→400~600mg/日の内服が勧められているが、200mg/日でも有効。
⑤副作用は?
→少ないが、傾眠,浮動性めまい高アンモニア血症,肝機能障害,クレアチンホスホキナーゼ増加,貧血
※妊娠中,および妊娠中の可能性のある女性には原則禁忌とする.
⑥服用時期?
寝る前
⑦片頭痛治療におけるバルプロ酸血中濃度測定にはどのような意義があるのか?
→血中濃度は21-50 μg/mlが至適と考えられ,血中濃度を50μg/ml以上に上げても効果は乏しいため。
※120μg/mlを超えてくると,血液凝固障害,傾眠,振戦,鎮静,攻撃性,高アンモニア血症,高血糖などが出現する.
⑧バルプロ酸は小児片頭痛の予防に有効でかつ安全か?
→①生活支障度が高く(回数は多くはないが毎回嘔吐を伴う、寝こんでしまうなどの強い頭痛、 回数が多い(月に10日以上鎮痛薬を必要とする))②他の薬剤が無効の場合、③脳波上にてんかん波がある片頭痛(あるいはてんかん関連頭痛)に限定し、かつ慎重に行うことが勧められる。