骨盤内感染症(PID:pelvic inflammatory disease)

骨盤内感染症(PIDpelvic inflammatory disease)は,骨盤腔にある子宮,卵巣、卵管、大腸、ダグラス窩,膀胱子宮窩を含む骨盤内の細菌感染症の総称です。

婦人科領域では,付属器炎,卵骨盤腹膜炎が含まれる。

膣から上行性に病原体が骨盤内に入ることで腹痛、発熱等の症状をおこします。

起炎菌:

一般病原体

グラム陰性桿菌(大腸菌,クレブシエラ,変形菌)

グラム陽性球菌(ブドウ球菌、レンサ球菌)

嫌気性菌(バクテロイデス)

性行為感染による病原体

クラミジア

淋菌

マイコプラズマ・ジェニタリウム(PIDの原因の約15)

必須診断基準〕(A)

1.下腹痛,下腹部圧痛

2.子宮,付属器の圧痛

付加診断基準および特異的診断基準〕(B)

1.体温≧38.0°C

2.白血球増加

3.CRP の上昇

4.経腟超音波検査や MRI による膿瘍像確認(卵管肥厚や卵管留水腫)

経腟超音波検査で腫瘤を認めない場合、子宮内膜炎、付属器炎、骨盤腹膜炎と診断します。

治療は、

嫌気性菌による PID にはフラジール(30% 下痢・悪心) 1 500mg1 3~4 回を併用する経口摂取が困難な重症例でも,ロセヒィン点滴の併用で 95% 上の PID が治癒します。

不妊症の原因になりうるので治療が必要です。

 

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