子宮頸がん 

子宮頸癌

<疫学>

・子宮癌は7割を占める若い人に多い子宮頸癌と3割を占め中高年に見られる子宮体癌からなります。
・子宮頸癌も若年化がみられ、最近は20~30歳代の若い女性に増えてきており、30歳代後半がピークとなっています。
・日本では、毎年約1.1万人の女性が子宮頸がんにかかり、約3000人が死亡し、2000年以後は、患者数も死亡率も増加しています。
・若い女性のがんの中で子宮頸癌が死亡率1位となっています。

<原因> 原因は、性交渉によって感染するHPV(ヒトパピローマウイルス)です。特に高リスク型HPVの長期感染が癌化につながります。 * HPV: 半数以上の女性が一生に一度感染する。米国疾病管理センタ(CDC)の発表によると、14~59才の米国女性を対象にした検査結果では、対象女性の26.8%の人が感染していたそうです。

<高リスク型HPV HPVは100種類以上の型が確認されています。  これらはハイリスク型、ローリスク型の2つにわかれ、ハイリスクといわれる型が原因で、異形成を経てがん細胞になる可能性が高くなります。 高リスク型HPVとは16型・18型・31型・33型・35型・39型・45型・51型・52型・56型・58型・59型・68型です。この10種類が90%を占めています(HPVは16型と18型を合わせて50%)。 欧米では16型・18型・45型・33型・31型・52型・58型・35型の順にがんになる確率が高いようです。  

<HPV一括検査(保険適応)>  細胞診でASC-US(つまりLISL疑い)だった場合、LSILの原因となるHPVがいるのかどうか確認するため行います。 HPVが陽性であればコルポスコピー下生検、一方、HPV陰性だったら、一年後に再検査となります。 ※ピル服用者は黄体期(排卵日以降)のほうがHPVの検出率が高くなります。 

<HPV長期感染のリスク> HPVを長期感染させてしまう要因にはクラミジア、または2型ヘルペスウイルスに感染している場合、エイズ感染や喫煙などにより、免疫力が低下しているをしている場合、葉酸、ビタミンA、ビタミンC、βカロチン値が低下している場合やステロイド利用時です。

 <HPV感染後の経過> ヒトパピローマウイルス(HPV)に感染しても、約90%は、3年以内にウイルスが自然に排出され、治癒しますが約10%の人がウイルスを排除できずに持続感染を引き起こし、、子宮頸部の細胞に異形成が起き、異形成のうち軽度異形成では1~2%、中等度異形成では20%程度、高度異形成では40%程度が5~10年かかって子宮頚癌に進行します。 軽度異型性は70%が自然治癒しますが、中等度異型成以上は治癒しません。 最近では異形成は次のように分類されています。

  • 軽度異形成 (CIN1) : CIN はCervical Intraepithelial Neoplasia の略語です。子宮頸部の細胞のなかで、異常化した細胞の割合が3 分の1
  • 中等度異形成 (CIN2) :異常化した細胞の割合が3 分の2
  • 高度異形成 (CIN3) : 子宮頸部の細胞のほとんど全てが異常、または前がん状態に進行した状態。25 人に1 人の女性が中等度異形成以上の状態になると考えられています。高リスク型HPV感染例の1~3%が前癌病変(異形成)まで至り、そのうちの25%が子宮頚がんになると言われています。

<子宮頸癌へのがん化と対策>

・子宮頸がんの患者さんは、年間1万人程度(2008年)と報告され、年3,000人が死亡してます。

・HPV感染率は日本とほとんどかわらない豪州での死亡者は年間250人です。がん検診率が豪州は約30%と5%の日本との差が、早期発見早期治療につながっていると思われます。高度異型成や上皮内癌は早期に発見できれば、円錐切除術といって、子宮頸部だけを円錐状にくりぬく比較的簡単で侵襲の少ない方法で子宮や卵巣を温存し、治療が終了することもあります。

・現在、厚生労働省は「20歳以上の女性を対象に、2年に1回の定期検診」を勧めています。

<定期子宮頸癌検診の流れ> 定期的に検診を繰り返し受ければ85%の確率で前がん病変(高度異形成、上皮内がん:CIN3)」を見つけることができます。

診療室11-150x150

<定期検診>

  1. 問診票記入後,問診
  2. 内診 及び細胞診内診台に乗り、膣拡大鏡を膣内に挿入し、子宮膣などを子宮膣部を見えやすくし、視診で子宮頸部や膣などの出血、帯下などを診ます。双手診で子宮全体と卵巣・卵管などを触って大きさ、痛みなどを調べます。続いて、ブラシや麺棒で子宮頸部の表面を軽くなでて細胞を採取します。
  3. 細胞診の結果は約2週間でわかるため、その時期に来院します。

<福岡市の子宮頸がん補助事業>

①福岡市の子宮頸がん検診無料クーポン券

対象者:20歳の女性
平成14年(2002)年4月2日から平成15(2003)年4月1日生まれ
有効期間:令和6年3月31日まで
検診当日:
無料クーポン券及び本人確認書類(健康保険証や運転免許証)を提示する。
紛失した場合は、住所、氏名、生年月日が確認できる公的機関が発行した証明書(マイナンバーカード、健康保険証、運転免許証など)の提示により、無料で受診いただけます。

福岡市の子宮頸がん検診

福岡市に住民票があれば実費1,200円で検診が可能です。(2年に一回)

結果は約1-2週間でわかります。

まずは、お電話下さい。当日の受診も可能です。